初恋のキミは最愛ヒーロー
「紅月の抱える気持ちも分かってないくせに、悩みの程度を勝手に決めつけてんじゃねぇよ」
男たちは悪びれる様子もなく、ニヤニヤと笑う。
「つーか、さっきから何で熱くなってんの?ヨルって、こんな人情味あるウザい男なわけ?」
「なあ、ケイタ。もしかして、ヨルと玲音って裏で仲良くしてたのかもしれないぜ?玲音のヤツ、俺らのグループの情報を流してたんじゃねぇか?」
「そうかもしれないな。ったく、わざわざグループに入れてやったのに、最低な裏切り者だな。ヨルと一緒にボコボコにして動けなくしてやろうぜ?」
「……だな!」
茶髪の男が鉄パイプで地面をトントンと叩く。
すると、それを合図に空き地に5、6人の不良らしき男たちが入って来た。
「ヨルを痛めつけようってことで、玲音に招集かけられたんだけど、まさか…その本人もボコられることになるなんて、皮肉だな」
冷たい笑い声が飛び交う中、金髪の男が鉄パイプを頭上に構える。
項垂れたままの紅月めがけて一気に振り下ろそうとした鉄パイプを、俺は反射的に横から蹴り飛ばした。