初恋のキミは最愛ヒーロー
カランと音をたてて地面に落ちる鉄パイプ。
勢いよく蹴ったからか、くの字に曲がっていた。
「う、嘘だろ……」
金髪の男は目を丸くして驚く。
周りの奴らも固まってしまった。
「…さすがヨルだな。さすが俺らの元リーダーを瞬殺しただけのことはある。だけど、この人数で攻められたら勝てないだろ」
茶髪の男はフッと笑うものの、鉄パイプを持つ手が小刻みに震えている。
しかも、逃げ腰気味だ。
「ここで俺らを殴ったところで、アンタらに利益があるとは思えねぇけど?」
一歩、奴らの方に向かって踏み出すと、男たちは狼狽えだす。
「ケイタ、やめようぜ?やっぱりヨルには勝てねぇよ」
「今の見ただろ?コイツの瞬発力と蹴りの威力は、かなりヤバいって!」
「騒ぎを聞きつけて警察が駆け付けてきたりしたら、それこそ厄介だ」
ヒソヒソと不良たちが話し始めた時。
「お巡りさんたち、こっちです!あの空き地で不良たちが喧嘩してるんです!」
聞き覚えのある女の声が、どこからともなく響いてきた。