初恋のキミは最愛ヒーロー
「ね、ねぇ…。これから遊びに行くんだし、壱夜くんも紅月くんも、ケンカするのは止めた方が…」
「大丈夫だよ、莉彩ちゃん。これは殺伐とした状況ってわけじゃなく、ある意味…平和な光景だから」
オロオロする私をなだめるように、神楽くんはニコリと笑う。
これが平和なの…?
とても、そんな風には見えないけど…。
「そうだ、碧瀬。俺のことも名前で呼んでよ」
「ふぇっ!?」
突然の紅月くんからの思わぬ言葉。
驚きのあまり、普段…あまり出さないような声が口から飛び出す。
「黒河内は名前呼びしてるじゃん」
「そ、それは…苗字が名前よりも長いから」
「俺も下の名前の方が短いけど?」
おお、確かに…。
一応、今の段階では壱夜くんも紅月くんも“友達”なわけだし、同じように呼ばないと、かえって不自然なのかもしれない。
「それじゃあ、玲音くん……でいい?」
「フッ、なんで疑問系?名前、ちゃんと合ってるよ」
玲音くんは満足そうに目を細めて笑った。