初恋のキミは最愛ヒーロー

「お、おはよう…」


あれ…?


今、“碧瀬”って言ったよね?


金曜日までは、“さん”付けだったと思うんだけど…。


そんな私の考えていることを察したのか、紅月くんはフッと笑った。


「俺ら友達になったわけだし、いつまでも“碧瀬さん”って呼ぶのは堅苦しいと思ってさ。ダメだった?」


「ううん、全然OKだよ!」


「それなら、いっそ…下の名前で呼ぼうかな」


その直後。


壱夜くんが大きく咳払いをした。


「そんなの、ダメに決まってんだろ」


ちょっと怒ってる…?


どうして…?


「お前、碧瀬を襲おうとした…っていう前科があるんだから、下の名前で呼ぶとか、いくら何でも馴れ馴れしすぎるだろ」


そっか…。


あの時のこと、気にしてくれてるんだ…。


「黒河内、本当に…それだけが理由?」


「当たり前だろ」


挑発的な笑みを浮かべる紅月くんをギロリと睨みつける壱夜くん。


よく分からないけど、これって険悪な雰囲気…?


< 206 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop