初恋のキミは最愛ヒーロー
「お、おはよう…」
あれ…?
今、“碧瀬”って言ったよね?
金曜日までは、“さん”付けだったと思うんだけど…。
そんな私の考えていることを察したのか、紅月くんはフッと笑った。
「俺ら友達になったわけだし、いつまでも“碧瀬さん”って呼ぶのは堅苦しいと思ってさ。ダメだった?」
「ううん、全然OKだよ!」
「それなら、いっそ…下の名前で呼ぼうかな」
その直後。
壱夜くんが大きく咳払いをした。
「そんなの、ダメに決まってんだろ」
ちょっと怒ってる…?
どうして…?
「お前、碧瀬を襲おうとした…っていう前科があるんだから、下の名前で呼ぶとか、いくら何でも馴れ馴れしすぎるだろ」
そっか…。
あの時のこと、気にしてくれてるんだ…。
「黒河内、本当に…それだけが理由?」
「当たり前だろ」
挑発的な笑みを浮かべる紅月くんをギロリと睨みつける壱夜くん。
よく分からないけど、これって険悪な雰囲気…?