初恋のキミは最愛ヒーロー
「いきなり、何?」
『だって、あのキーケースに付いてるストラップの小瓶って、小さい頃、近所のイベントか何かで出会った初恋の女の子から貰ったものなんだろ?ほら、壱夜が中1の時に、そんな感じの話をしてたじゃん』
あー…。
そう言えば、桃舞にしつこくせがまれて、仕方なく打ち明けた時があったな。
大まかに話したとは言え、ところどころ内容が変わってんだけど…。
まあ、いちいち指摘すんのも面倒だから黙っておこう。
『んで、どうなんだよ?好きなわけ?』
「……好きだよ」
独り言のように低い声で言葉を零す。
ずっと抱き続けてきた気持ち。
いつか再会する日がやって来たら、言いたいと思ってる。
夏祭りの時に伝えられなかった、“ごめん”や“ありがとう”の言葉と一緒に…
“あの時からキミが好きだった”って。
『ふーん……』
なんか、含みのある言い方だな…。
別に変なことを言ったわけでもないのに…と思いながら、眉をひそめた時だった。
『それじゃあ、莉彩ちゃんのことは…どう思ってんの?』