初恋のキミは最愛ヒーロー
「壱夜と、何かあった?」
「う、うん…。私が転びそうになっちゃって、そこを壱夜くんが下敷きになって受け止めてくれたんだ…」
「なるほど、そんなことが……。あっ!それはそうと、ケガは大丈夫?」
心配そうに訊ねる桃舞くんに、私は手当てをしてもらった左手を見せた。
「ほら、この通り!大したことないから大丈夫だよ!あの、迷惑かけちゃって、ごめんね」
「謝る必要ないよ!そもそも、莉彩ちゃんの負傷の原因は、壱夜がキーケースを落としたところにあるわけだし」
桃舞くんは少し遠くを見つめながら、小さく溜め息を漏らす。
「今はまだ“ストラップ”の方が大事なんだよな、壱夜の中では」
呟かれた言葉に、私の肩がピクリと上がった。
「それって、壱夜くんのキーケースについてたものだよね?綺麗なビーズが入ったガラス瓶の…」
「あっ、うん…」
「あのストラップって、桃舞くんがプレゼントしたもの…とか?」
桃舞くんは少し気まずそうな表情を浮かべながら、首を横に振った。