初恋のキミは最愛ヒーロー

“コイツ、適当なこと言いやがって”とか、内心は思ってそうだな。


でも、元気になったのは本当だよ。


この季節は、一人きりになると沈みがちになっちゃうことが多いから…。


笑顔に戻れたのは壱夜くんのおかげ。


ありがとう…。


心の中から言葉を投げかけた。


その後、春休みの話を私が殆ど一方的に聞いたりしながら歩くうちに学校に到着。


昇降口の、クラス替えの紙が貼り出されているホワイトボードの前は、生徒たちの人だかりが出来ていた。


「うわ、すげぇ人」


あからさまに不機嫌な表情で、溜め息をつく壱夜くん。


人ごみ、好きじゃないもんね…。


「それじゃあ、私が代わりに見てくるよ!だから、壱夜くんは待ってて?」


「お前、背が低いんだから、あの人だかりの後ろから見るのは大変だろ。俺が見てくる」


「えっ…!?」


ホワイトボードに向かって、まっしぐらに進んで行く壱夜くんを見て、私は瞬きを繰り返した。


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