初恋のキミは最愛ヒーロー
これ、夢じゃないよね…?
思わず右の頬をつねって、現実であることを確認してしまった。
壱夜くん、優しくないですか!?
いや、最初から優しい男の子なんだけども…!
これまでは、言葉や口調が刺々しかったり、素っ気なかったりすることが圧倒的に多かった。
でも…今の気遣ってくれた言葉、とにかく声が柔らかかった。
本人は、普段と変わりないクールな顔でサラリと言ってたけど、私は驚きとトキメキで、鼓動の波打ち方が凄まじいよ。
ドキドキしながら、壱夜くんの後ろ姿を目で追っていた時…。
「莉彩ちゃん、おはよー!」
肩をポンと軽く叩かれて振り向くと、笑顔の桃舞くんと穏やかな表情の玲音くんが立っていた。
「おはよう!」
「碧瀬に会うの、すげぇ久々な感じ」
「終業式以来だもんね」
「俺、学校始まるのが待ち遠しいと思ったのは今回が初めてだよ。碧瀬のおかげ」
玲音くんから優しい眼差しを向けられた私は、何だか照れくさくなってしまった。