初恋のキミは最愛ヒーロー

「良かったね、玲音くん」


本当に良かった…。


私も笑顔で言葉を掛けた。


「碧瀬に一番最初に聞いて欲しかったんだ。だから、今日話せて嬉しかった」


「どうして私に……?」


「アンタが喜んでくれる顔を最初に見たかったから。このところ、アンタの楽しそうに笑う姿とかご無沙汰だし」


もしかして、この素敵な場所に連れて来てくれたのも、私が笑顔になれるように…?


「……黒河内と色々あったんだろ?」


ああ、やっぱり……。


「……知ってるんだね」


「神楽と黒河内が話してるのを偶然聞いたんだ。今まで黙っててごめんな」


「ううん、いいの。むしろ、いつも通りに接してもらえて楽だったから。気遣ってくれてありがとう」


いつまでもウジウジしてるのは良くないよね。


頑張って気持ちを切り替えなくちゃ。


壱夜くんと普通の友達になれるように。


心を奮い立たせていると、不意に玲音くんの手が私の手に重ねられた。


< 361 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop