初恋のキミは最愛ヒーロー
「えっ!?」
ちょうど部屋の前まで来ていたスーツ姿の莉彩のお母さん。
俺を見た瞬間、ビクッと肩が跳ね上がるのと同時に驚きの声を発した。
当然の反応だよな。
見知らぬ人間が家の中にいたら、誰だってビックリする。
「えっと、あなたは……」
「突然お邪魔してしまって、すみません。俺、莉彩さんと同じクラスの黒河内 壱夜と言います」
「莉彩のお友達…?」
「はい。実は……」
莉彩が学校で倒れたこと、体調不良で早退したこと、熱があったので家まで一緒に帰って来たことなどを簡潔に伝える。
「そうだったの…。迷惑かけてしまって、本当にごめんなさい」
事情を知った莉彩のお母さんは、申し訳なさそうに頭を下げた。
「誰だって体調が悪い時はありますから、迷惑だなんて思ってないです。それじゃあ、莉彩さんも眠ってますし、俺はこれで……」
「あっ、待って!黒河内くん、この後…時間はある?」
「は、はい…」
「それなら、ちょっとこっちに来て?」
莉彩のお母さんに連れられて、俺はリビングへと移動した。