初恋のキミは最愛ヒーロー
ソファーに座るよう促され腰を下ろして待っていると、テーブルにコーヒーが置かれた。
「そうだ、黒河内くんはスイーツ食べれる?甘い物とか苦手?」
「甘すぎないものであれば、何でも食べますけど……」
「それなら良かったわ!今日、会議の後に取引先の社員さんが教えてくれたケーキ屋さんに寄って来たの。このケーキが特に美味しいらしくて」
莉彩のお母さんがお皿にのせて持ってきたのは丸型のチョコレートケーキ。
上にはブルーベリーやカットされた苺が飾られていて見た目も綺麗だ。
「ビターチョコらしいから、それほど甘くないらしいの。莉彩に付き添ってもらったのに、これぐらいしかお礼が出来なくて本当に申し訳ないんだけど、良かったら食べていって?」
お礼なんて、何もいらないのに。
体調が悪い莉彩を送ってきただけで、大したことはしていないんだから。
逆に申し訳ない気持ちになったけれど、莉彩のお母さんがせっかく用意してくれたケーキなので、いただくことにした。