初恋のキミは最愛ヒーロー

「あの、お聞きしたいことがあるんですけど、いいですか?」


「ええ、もちろん」


優しい微笑みが返ってきたのにホッとしたのか、肩に入っていた力が少し緩むのを感じた。


「莉彩さんの机の上にある写真立てのことなんですけど……」


「あれ、莉彩が小学校に入学した年の夏に、当時住んでいた地域の隣町にある河川敷の花火大会で撮ったものなの。家族3人で撮った最後の写真だから今も大切に飾ってるみたい」


河川敷の花火大会…。


ドクンと心臓が跳ねる。


「それって、星想川の花火大会ですか?」


「あら、どうして分かったの!?この辺の人に話しても知らない人が殆どなのに」


「母の実家があの河川敷の近所なんです。後ろに写ってた屋台の雰囲気とか似ていたので、もしかしたらと思って…」


驚いている莉彩のお母さんに、平静を装って理由を説明する。


次第に大きくなる鼓動の音。


指先が微かに震える。


俺があの花火大会に行ったのも小学1年生の夏。


だけど、まだ完全に一致したわけじゃない。


気になることが、あと一つあるから。


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