初恋のキミは最愛ヒーロー
「親としては、もっと甘えて欲しいし何でも話して欲しいと思っているから、本人にそれとなく伝えてはいるんだけど、上手くいかなくて…」
仕事の忙しいお母さんに、あまり負担をかけないようにって気遣ってるだろうからな、アイツ。
甘えるっていうのは、難しいのかもしれない。
「あ…、こんな話…聞いても反応に困るわよね。コーヒー、新しいの淹れるわね」
俺のコーヒーカップを手に取ってキッチンへと持っていく莉彩のお母さん。
その様子を眺めていた俺の脳裏に、莉彩の机の上にあった写真立てが浮かんだ。
莉彩と初恋の女の子。
名前は違うけど、見た目は合致している。
同一人物の可能性は低いのかもしれないけど、やっぱり気になってしまう。
写真に関する話を聞いて何か変わるか分からないけど、聞かなきゃ何も変わらない。
今後、莉彩のお母さんとこんな風に話せる機会はないかもしれないし…。
「お待たせ。はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
コーヒーを一口飲んだ後、俺は緊張しながら口を開いた。