【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「そうだな。たまには食べていこうか。どうせ帰ってもひとり飯だしな。Aコースを頼む。帰りがクルマだから酒は飲まないよ」
ちらりと芽衣を見て微笑み、ナプキンを広げた男。
「わかりました」
「ああ、よろしくな」
店員がいなくなると、芽衣は男を睨んだ。
「あなたが、この店のオーナーなの?」
「ああ、そうだ。だから、あんたが何かクレームを入れても俺を辞めさせるのは無理だな」
フッと笑う男を見て芽衣は歯ぎしりした。
「あなたがここのオーナーだか何だか知らないけど、初対面の人に対して随分と横柄な態度じゃない?」
「そうか? いつも大抵こうだけど。フレンドリーだと女性受けは悪くないぞ」
女性受け?
自分はモテると公言したいのだろうか。
随分傲慢な男だ。
「チャラい…」
「え?」
「私、あなたみたいにチャラい人が本当に苦手なの。軽くて何考えてるか、全くわからないから」
「そぉ? 俺が考えてることは案外単純だけどな」