【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「聞いてはいたけど、これほどとはな」
「はい? 」
「なんでもない。ただ、難攻不落な城ほど男としては攻めがいがあるよな?」
疑問形で話す梨田。
一体誰に話してる訳?
「あなた、私の話聞いてます?」
「聞いてるさ。難攻不落な田中芽衣さん」
梨田は、フッと笑って少しかがんだ。
芽衣の目線に合わせるようにして梨田は、じっと芽衣の瞳を見つめる。
「あんたがなんで俺を毛嫌いするのか知らないけど、すぐに、あんたから俺に『会いたい』って言わせてやるよ」
「やだっ! 何それ。今ぞ〜ときて鳥肌が立ったわ」
芽衣は強く鳥肌のたった腕をさする。
「いいから、覚悟しときなって 芽衣」
「ちょっと! 私に断りもなく名前を勝手に呼ばないでよ」
「いいだろ。名前くらい。呼ばれると親しみがわくだろ?いーんだよ、俺を大和って呼んでみても」
ぐいっと顔を寄せてくる梨田。
「ゃ、呼ぼないわよ。誰が呼ぶのよ。あなたとなんか親しみ合いたくないし」
急に梨田は、芽衣の腰に両腕をまわしてきた。