【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
ラウンジを出て帰ろうとした芽衣。
「芽衣」
エレベーターの前で梨田に掴まれた手。
「時計を見ろよ。まだ、10時だ。あと2時間もある」
「まだ、飲み足りないわけ?」
「話し足りない。今日で最後なんだから、もっと話したい。いいだろ? 12時までの約束なんだから」
「いいわ。どこで話すの?」
梨田は、手にしていたジャケットを探り
「ここで」
ホテルのカードキーを見せてきた。
「ちょっと、待って。私は部屋なんかへ行かないわよ?」
「なんか勘違いしてる? 話をするだけだよ、芽衣」
*・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*
モテ男にうまく丸め込まれて、ホテルの部屋へ来てしまった。
お酒は沢山だという芽衣に、梨田は、ミネラルウオーターを用意してくれた。
梨田は、赤ワインをグラスに入れ煽るように飲み出していた。
「芽衣はさ、どうしてハウジングアドバイザーになろうと思ったの?」
急に仕事の話を振ってきた。
こんな酔っている男に自分の仕事の話とか、目標とか、夢だとかを語る気にはならない。
「言うほどの理由はないわ」
「そう? 俺なんかには言いたくないか〜まあ、いーよ。俺は芽衣を見てられれば〜それで」
梨田にジィッと見つめられて芽衣は表情を硬くした。
こんな手には引っかからない。
あと、1時間45分ひたすら耐えるだけだ。