【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「あなたの、き、勤務時間が終了したとか…しないとか関係ないわ!手を離してよねっ、さもないとオーナーに言うわよ。スタッフの質が悪いって」
男に掴まれた手を力づくで引きぬこうとする芽衣。
「勝手にすれば? なんなら、俺が呼んでやろうか?」
男は芽衣の手を掴んだまま、近くにいた店員に合図して呼び寄せている。
「は? なに?あなた正気?」
オーナーに怒られることをわざとやろうとしている男の意図が読めず、アタフタする芽衣。
「クビになるわよ。仕事終わりに、こんなわいせつな行動してるってオーナーに知られたら…いいの?」
「いいさ。そうすることで、あんたは俺の人生を破滅させたいんだろ?たかが手を掴んだくらいで」
「破滅? い、幾ら何でも私は別にそこまで望んでないわよ」
店員がやってくると、男がゆっくり芽衣の手を離した。
「お待たせ致しました」
「こちらの女性が呼んだんだ」
男は店員にそう言って掌を芽衣の方へ向けてみせた。
「わ、私?」
男が笑顔で頷く。
「えっと、あのですね…」