甘え下手の『大丈夫』
「瑞希…」

真由香の優しい手が頭をなでてくれる

「相沢ぁ~。泣くなよ~」

橋本くんの泣きそうな声が聞こえて私は顔をあげた

「泣いてないし!泣くわけないじゃん」

そう、泣くわけない。別れを告げられた時だって私は泣かなかった。泣けなかったのだ。

ドリンクを一口飲み、気持ちを落ち着かせてから3人の顔を見渡した。

「ごめんね、暗い話になっちゃった。久しぶりの同期会なのにホントごめん!」

頭を下げた私に、

「ううん?私が聞いちゃったんだし、ごめんね瑞希」

「気にすんな、相沢はいい女だ、大丈夫だぞ?」

「そうだよ、瑞希。瑞希ならすぐに次の人が見つかるよ!」

「オレみたいないい男はなかなかいないけどな」

「どうでもいい男ってことでしょ?」

「やっぱ梶まゆひどいっ!」

二人のやり取りは私の気持ちを浮上させてくれる

次の恋かぁ…

「次はいいかなぁ。ほら、一人でも大丈夫って保証されちゃったし、それを証明するのもいいかも。」

自棄になったわけじゃないけど、もう本当に一人で大丈夫って気もしてきた。
だって、もうすぐ30歳も近い。これから誰かと出会い好きになって、好きになってもらって、一から関係を築き上げていく。そんなことできるのか全く自信がなかった。

「そのうちお一人様マンションなんか買っちゃってさ、将来は高級老人ホーム入居目指しちゃおっかな」

おちゃらけた私の前から低い声が発せられた。


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