妹の恋人[完]
点滴が終わったのでナースコールを押すと、看護婦さんが点滴を交換に来てくれて。

明日には点滴も外せそうだと教えてくれた。

なんだか少しずつでもよくなっているようで、とてもうれしい。

「明日の診察で経過が良ければ、足のリハビリも始められるかもね」

左手首まはだ固定されたままでギプスを外せるようになるにはもう少し時間がかかりそうだけど。

テーピングでしっかり固定されただけの右足は、時間が治してくれるというやつらしくて。

何もすることなく、ただ動かさずに堪えているだけというのも実はかなりつらい。

それが、動かしてもよくなるかもしれないなんて、うれしい。

まるで、誕生日プレゼントをもらったかのようにうれしくて、顔がにやけてしまう。

そんな俺を見て看護婦さんは笑っていたけど、それでもいいんだ。

早く、退院して学校へ行きたい。

しばらくして、ケーキの箱を持ったカナコと母さんが病室へやってきた。

看護婦さんの許可を取ってろうそくに火をつける。

「おめでとう!」

カナコと母さんが歌まで歌ってくれて、同室の患者さんにも拍手でお祝いされて。

なんだかくすぐったいけど、うれしい誕生日だった。
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