妹の恋人[完]
ただ、勉強だけじゃなくて、もう少し高校生らしく遊んでもいいような気がするんだけどね。

そう笑う母さんは、きっと父さんも同じ意見だと思うよ、とやさしく背中を教えてくれた。

母さんの言う高校生らしさがどんななのか俺には分からないけど、確かに勉強だけじゃなくて部活も頑張りたかったし、アルバイトもしてみたいと思っていた。

バスケができない今、アルバイトもいいんじゃないだろうか。

まずは今度の試験でどんな結果になるか、だな。

部屋へ戻り、教科書と参考書を取り出す。

それでもなんとなく勉強する気になれなくて、携帯電話を手にした。

特に誰に電話するでもなく、メールを送るわけでもなく。

なんとなく電話帳を開いて登録してある友人のアドレスを目で追ってみる。

たくさんの人数を登録してあるわけでもないので、あっという間に全員のアドレスを見終わってしまった。

「は~」

携帯を閉じてため息をつく。

外はまだまだ冬で、今にも雪が降り出しそうだった。

「おにいちゃん」

トントン、とノックする音が聞こえた。カナコだ。
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