妹の恋人[完]
近所の同級生は、ほとんど塾へ通っているらしく、駅前には志望校に合わせていくつかの塾があるということを母さんは調べていてくれた。

俺の志望する公立高校は、その中でも一番レベルの高い塾がよさそう、とのこと。

名前を聞くと、クラスの副委員長の高橋さんが通っている塾だった。

「スイミング終わったら、申込用紙だけでも貰いに行こうか?」

プールサイドからカナコがこちらに向かって手を振り、隣のハナちゃんと楽しそうに笑っている。

俺も手を振り返して、母さんの言葉に頷き、塾の見学へ行ってみることにした。

塾へ行くようになったら、受験が終わるまではこうしてカナコだけを考える時間がなくなりそうだな。

さみしいけど、カナコの自慢のおにいちゃんでいるためにも頑張るんだ!

スイミングの後、ハナちゃんのお母さんに電話で断わりを入れてから、少しだけ塾へ寄り道した。

塾の受付で簡単に説明を受けて、書類を受け取る。

塾に入るためにはテストを受ける必要があるらしく、それに合格しなければ入ることができないらしい。

まさか塾に通うためにテストを受けるなんて思っても見なくて、ただびっくりしていた。

「浅野君?」
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