妹の恋人[完]
卒業
夏休みが終わってしばらくしてから、久しぶりに何も予定のなかった日。

まっすぐ帰宅すると、カナコと母さんが何やら真剣な顔で話をしていて。

「ただいま」

俺がリビングへ入るまで、まったく気がつかなかったようだった。

「あ、おにいちゃんおかえり」

カナコの手には、学校のパンフレットが握られていて。

母さんも何やら書類を片手に、かなり真剣な顔をしていた。

「ちょうどよかった。コウヘイ、この高校知ってるかしら」

俺の顔を見てから、手にしていた書類を俺に渡してきた母さんは、うーん、と伸びをしてからお茶を入れにキッチンへと向かった。

手渡された書類を見ると、近くにある有名な私立高校の書類で。

一番上にある紙には推薦入試についての説明のようなことが書かれていた。

「え、カナコ、推薦もらえるの?」

「うん、水泳の顧問の先生がね、どうかって」
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