妹の恋人[完]
新しい生活
「笑顔で送るんだったろ?」

「そう、だけどぉ」

永遠の別れではないけど。

毎日一緒にいた大切な両親と、すぐに会えない距離になってしまうのは、とても辛い。

「竹内さん、これからよろしくお願いします」

ハナちゃんのお父さんに、父さんが頭を下げていて。

「行ってらっしゃい!」

時間通り、飛行機は日本を飛び立っていった。

しばらく飛行機を見送り。

空港から動こうとしないカナコを連れて、少しだけ遠回りして家へ帰ることにした。

空港を出て、家とは反対方向へ車を走らせたところで、カナコも気が付いたようで。

「え、おにいちゃん、どこへ行くの?」

「とりあえず、入学祝でも買いに行くか?」

いつまでも別れを悲しんでいるカナコに、笑顔になってほしくて。

どこかへ遊びに行くよりも、新しい生活の準備をした方がいいんじゃないかと思った。
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