妹の恋人[完]
「コウヘイ、ダンボール運んでも大丈夫?」

下から大きな段ボールを抱えた父さんと母さんがやってきては、まだ片付けが終わっていない俺の部屋へと運んでいて。

「もう少し待ってよ。わからなくなっちゃう」

家の中はかなり散らかっていた。

引っ越し業者が、先に船便で送ることになっている大きな荷物を取りに来て。

父さん達の寝室が、かなりすっきりとした後、今度は俺の荷物を下へ降ろす作業をして。

3月の週末は、家の片付けに費やしていた。

3月中旬。

父さんと母さんがアメリカへ旅立つ日がやってきた。

平日だったけど、沢山の人が見送りに来てくれて。

父さんと母さんの車も処分してしまったので、俺の車で空港まで送っていった。

「何かあったらいつでも電話してね」

母さんが涙ぐみながら、カナコを抱きしめていて。

カナコも、のどを詰まらせながら泣いていた。
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