妹の恋人[完]
入学祝が何か分かったカナコは、とにかくうれしそうで。

「あのね、あのね、もう機種は決まってるのー!」

あわてて車から飛び出し、お店の中へ入って行ってしまった。

遅れて店のなかに入ると、すでに定員のお姉さんと話しこんでいて。

「お祝なんですね、おめでとうございます」

「おにいちゃん、はやくぅ~」

店員さんに勧められるまま席に座り、カナコの希望する機種にして手続きをした。

「ありがと!」

とにかくうれしそうで。

今日はこれで一日がつぶせるんだろうな。

「ハナちゃんとおそろいなんだよ!」

同じく、先日無事に第一志望に合格し、お祝に携帯電話を買ってもらっていたらしい。

「お父さん達、私のお祝いなんてすっかり忘れているんだと思っていた」

車で帰宅する途中、新しい携帯電話を触りながらカナコがぽつりとつぶやいて。

「忘れないよ。よかったな、カナコ」
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