妹の恋人[完]
帰宅する前にスーパーに寄り、食材を買い込んで。

夕飯を何にするかで初日だから簡単なもので済ませることにして。

「この前雑誌に載っていたパスタが美味しそうだったの!」

カナコの一言で、パスタに決定で。

帰宅して買い込んだ食材を冷蔵庫に入れ、初めて二人でキッチンに立った。

「おにいちゃん、料理したこと、あるの?」

「いや、無いよ」

「えーっ!今まで彼女の家とかで作ったりしなかったの?」

「え?そう言えばしたこと・・・ないかもなぁ?」

毎日のように、キッチンに立つ母さんを見ていたのに。

いざ、料理をしようと思うと、何から始めたらいいのか正直わからなくて。

雑誌に書いてあるとおりにすればいいのに、そこへたどり着くまでが長くて。

無意味に動いてしまう俺に対して、やはりカナコは手際良くて。

「なんか俺、情けないなぁ」

「あはは。がんばって覚えてくださいねぇ」
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