妹の恋人[完]
午後からは資料の説明をより丁寧に受けて。

あっという間に終業時刻となり、その日は解散となった。

「あ、歓迎会は早いんだけど入社初日になったので、皆予定空けておいてね!」

沢村さんにそう言われて、手帳にメモしておく。

初日にいきなり飲み会かあ。

帰宅すると家には誰もいなくて。

そうか、ハナちゃんの家にお邪魔しているんだっけ。

窓から隣の家を見ると、電気がついていて。

着替えてから俺も隣に伺うと、カナコとハナちゃんが夕飯の支度を手伝っていた。

「あ、おにいちゃんお帰り!」

俺が入っていくとカナコが飛びついてきて。

「ただいま」

頭をなでてやると、うれしそうに俺を見上げて笑っていた。

「カナちゃん、いつもそんな風にコウヘイ君にくっついているの?」

おばさんが呆れたように笑っていて。

「だって、おにいちゃんのこと大好きだもん!」

聞いている俺が恥ずかしくなるくらいはっきりとそう宣言して。

おばさんの横で、ハナちゃんが声をあげて笑っていた。
< 553 / 587 >

この作品をシェア

pagetop