アレキサンドライトの姫君
夜会の後、国王の元へディルクと共に謝罪に向かったが国王はまたもや鷹揚に許容してくれ、尚且つ近衛騎士団へ護衛の強化を下命すると言ってくれた。
人払いのされた国王の私室で、エーデルは事の顛末を国王とディルクに報告した。
白髪白髭の御老人に出会って紙を手渡されたこと、その老翁が『神の遣い』と名乗ったこと、「いずれ、また」と付け加えられた言葉。
大事な夜会で再び起きた、尺牘事件。
消えた老人。王宮の内通者。
謎が増えると同時に、危機感と嫌悪感と不信感も募る。
それでも、国王は父親のような包容力で、

「ハインリヒ国王・アーデルベルト13世の名にかけて、貴女のことを守ろう。エーデルシュタイン」

そう力強く告げられて、エーデルは少しだけ心に安堵の炎を灯したのだった。
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