Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
ごろんと仰向けに横たわる陣さん。顔を隠すように目の上に腕を乗せて、脱力した。
一度倒れたが最後、精魂使い果たしたかのように動かなくなってしまった。
「陣」
御堂さんはベッドの脇に立って、陣さんをやるせない表情で見下ろす。
「信用していなかったわけじゃない。陣の前では、強い自分でいたかったんだ……君には負けたくなかった」
御堂さんが独白するも、陣さんは動かない。聞いてはいるのだろうけれど、ただ黙って横たわるだけだった。
「すまない。俺の勝手なプライドで誤解させて…」
深い深い思い出の底を辿って、懺悔するみたいにうなだれた。
陣さんは瞳を隠したまま、口もとだけ引きつらせ自嘲の笑みをこぼす。
「……俺だって同じだ。借金を抱えて喘いでいますなんて、情けねぇことお前に言えるかよ」
呟いた陣さんの声は鼻声で、その上掠れ気味で、今にも泣き出してしまいそうだった。
――結局は、男同士の意地の張り合いだったのだろうか。
仲がいいゆえに、お互いを認め合い過ぎるがゆえに、ふたりはいつしか本音を明かせなくなってしまった。
本当は、誰よりも近くにお互いを感じていたというのに。
「パティシエ界の期待の新星なんてチヤホヤされて、調子に乗って経営なんかに手を出して、失敗して借金作って――そんなみっともない転落人生、お前には知られたくなかった……」
一度倒れたが最後、精魂使い果たしたかのように動かなくなってしまった。
「陣」
御堂さんはベッドの脇に立って、陣さんをやるせない表情で見下ろす。
「信用していなかったわけじゃない。陣の前では、強い自分でいたかったんだ……君には負けたくなかった」
御堂さんが独白するも、陣さんは動かない。聞いてはいるのだろうけれど、ただ黙って横たわるだけだった。
「すまない。俺の勝手なプライドで誤解させて…」
深い深い思い出の底を辿って、懺悔するみたいにうなだれた。
陣さんは瞳を隠したまま、口もとだけ引きつらせ自嘲の笑みをこぼす。
「……俺だって同じだ。借金を抱えて喘いでいますなんて、情けねぇことお前に言えるかよ」
呟いた陣さんの声は鼻声で、その上掠れ気味で、今にも泣き出してしまいそうだった。
――結局は、男同士の意地の張り合いだったのだろうか。
仲がいいゆえに、お互いを認め合い過ぎるがゆえに、ふたりはいつしか本音を明かせなくなってしまった。
本当は、誰よりも近くにお互いを感じていたというのに。
「パティシエ界の期待の新星なんてチヤホヤされて、調子に乗って経営なんかに手を出して、失敗して借金作って――そんなみっともない転落人生、お前には知られたくなかった……」