Melty Smile~あなたなんか好きにならない~
花びらの間を割ってぷかぷかと流れてきたその薔薇の塊はちょっと異様で、バラの花をいくつか無理矢理ゴムで結わえたような形をしていた。
触れてみると、水面側に固く小さい金属が結ばれていることに気がついて、手の上でひっくり返してみる。
「これ……」
リングだった。中央に大きなダイヤ、その周りには小さなダイヤが覆うように曲線を描いていて、無限を表すインフィニティのラインを象っている。アームはプラチナ。
テレビでやっている芸能人の結婚記者会見くらいでしか見たことのない、華やかで美しいリングだった。
「婚約指輪なんて気が早いとも思ったんだけれど、それだけ俺が真剣に華穂のことを考えてるってことで。どうも俺は、真面目にやっててもチャラチャラしてるとか軽いとか思われる節があるみたいだから」
そう言って、ひょいっと肩を竦めた。私自身、散々そう思っていたから、フォローしてあげることもできない。
「今回、将来のこととか、結婚相手のこととか、いろいろ考えさせられて。そしたら、パートナーは華穂じゃなきゃダメだと思ったんだ」
さっき私がお湯をかけて濡らしてしまった髪をかき上げながら、彼は照れ笑いを浮かべる。
「随分と言うのが遅くなってしまったけれど――」
改まって私を真正面から捉えると、女性なら誰もが心を奪われるであろう柔らかな笑みで微笑む。
「……俺と結婚を前提に、お付き合いをしてほしい。俺が素直に弱さを見せられるのは、この先きっと華穂しかいない。それから、その弱さを愛していると言ってくれるのも、強がりばかりな俺を叱ってくれるのも、きっと華穂しかいないんだ」
彼の言葉が私の奥深くに入り込んできて、身体も心も痺れるように奪われる。
触れてみると、水面側に固く小さい金属が結ばれていることに気がついて、手の上でひっくり返してみる。
「これ……」
リングだった。中央に大きなダイヤ、その周りには小さなダイヤが覆うように曲線を描いていて、無限を表すインフィニティのラインを象っている。アームはプラチナ。
テレビでやっている芸能人の結婚記者会見くらいでしか見たことのない、華やかで美しいリングだった。
「婚約指輪なんて気が早いとも思ったんだけれど、それだけ俺が真剣に華穂のことを考えてるってことで。どうも俺は、真面目にやっててもチャラチャラしてるとか軽いとか思われる節があるみたいだから」
そう言って、ひょいっと肩を竦めた。私自身、散々そう思っていたから、フォローしてあげることもできない。
「今回、将来のこととか、結婚相手のこととか、いろいろ考えさせられて。そしたら、パートナーは華穂じゃなきゃダメだと思ったんだ」
さっき私がお湯をかけて濡らしてしまった髪をかき上げながら、彼は照れ笑いを浮かべる。
「随分と言うのが遅くなってしまったけれど――」
改まって私を真正面から捉えると、女性なら誰もが心を奪われるであろう柔らかな笑みで微笑む。
「……俺と結婚を前提に、お付き合いをしてほしい。俺が素直に弱さを見せられるのは、この先きっと華穂しかいない。それから、その弱さを愛していると言ってくれるのも、強がりばかりな俺を叱ってくれるのも、きっと華穂しかいないんだ」
彼の言葉が私の奥深くに入り込んできて、身体も心も痺れるように奪われる。