ナミダ列車








……いや、最早ただの人なのかも定かではないんだけれども。


宇宙人?
未来人?
魔法使い?

まさかね。

ただのストーカーの線が一番濃厚だろうが、どうやら私に危害をくわえるつもりはなさそうなのでとりあえず一安心した。






「ぶらり一人旅、いいね」

「…まあ、」

「うんうん。旅ってなんだか非日常感があって俺も好きだよ」

「…はあ、」

「ほら。なーんにも変わらない日々って飽き飽きするだろー?たまにはこうやって電車に乗って…ぶらりと遠出をしたくなるよなー」

「そうですね」

「あ、いろは聞いてないね?」

「…ていうかこっちとしてはその名前呼びに違和感ありまくりなんですけど」





ハルナさんはよくもこうペラペラと喋る。

だってこんな変な人、すぐに打ち解けられるわけないでしょう。それよりもまさか終点まで一緒とか言わないよね?





「いいじゃん、細かいことは」

「こっちとしてはかなり気がかりです」

「俺がいろはの名前を知ってるから呼んだ。ただそれだけの話だよ」

「……なんか怖い」



ハルナさんの丸眼鏡が光った。

もさっとしている長い前髪の奥に綺麗な瞳がある。





「ハハハ、怖い人かあー」




けれど、またすぐに目を細めて肩を揺らしていた。ヘラヘラしていた雰囲気を少しだけ引き締めたような気がしたが、なんでもなかったみたい。

……依然として彼の正体は分からぬまま、か。

落胆する私にハルナさんは柔らかく微笑みかけてくる。




「もう一口イチゴオレちょうだい」

ところどころ馴れ馴れしい彼の態度にも、途中からもうどうでもよく思い始めてくる始末だ。



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