ナミダ列車
「おっと、もう降りなくては」
プシュー…、扉が開くとおじさんは、もう一度だけ涙を拭ってからようやく腰を上げる。
ああ、降りてしまうんだ…。
正直涙のことが気がかりだった。
やはり私が余計なことを言ってしまったのかもしれないと思っていた途中だったために、こんなタイミングで別れてしまうのは心残りがあった。
「きっと、今回の旅は君にとってとっても大事な旅になる」
「…え?」
「ゆっくりでいい…。前に進もうという思いがあるのなら、きっとその穴は埋まるはずだから」
「それでは」と会釈をして背を向けていくおじさん。白髪がやっぱり目立っていた。
そこから伝わってくる日々の気苦労に、なんだか居ても立っても居られなかった。
「あのっ…!」
「…?」
「ありがとうございましたっ!短い時間でしたけれど、あなたに出会えてよかったです!どうかお元気で!」