ナミダ列車








ミユ、と名乗る少女───ミユちゃんは、グッと口を結んでスケッチブックを抱き締めていた。

眉を下げる老婦人は、頑なに拒否をするミユちゃんに切なげな視線を向けている。

ほんの一部始終を聞いただけだったけれど、彼女の気持ちはなんだかよく分かってしまった。



学校に行く意味も分からないのに、更々宿題なんてやる気になれないのだろう。








「あのー…」


烏滸がましいかもしれないけど、表情を暗くしている老婦人を見てしまったらなんだか放って置けなかったんだ。

朗らかで優しい、そんな雰囲気。

栃木なまりのキツイ彼女は、陽だまりのような人だと初見ながらに思ったほど。






「チョコ、いる?」

「え?」

「あの、あげても大丈夫ですか?」

「……は、あ…、ああ、申し訳ないねえ」


子どもはお菓子で連れ…なんていうのは姑息な技かな。

袋の中からミルクチョコレートを取り出した私は、隣の客が急に話しかけてくる、などというあまりのことに驚きの展開にパチパチと瞬きをしている老婦人に、念のために確認を取った。





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