ナミダ列車
「……なっ」
「そうだよ〜?実はね、彼女はオニーサンのフィアンセなんだ」
「フィアンセェェ〜〜〜?」
「なに勝手なこと言ってるんですか!違うよ?!今の全部嘘だから!」
「ええ〜…違うのお…?ね、ばぁちゃんもそう見えたよねぇ?」
ボリボリとチョコを噛み砕きながらハルナさんは満更でもなく笑顔を振りまいている。
……が、冗談じゃない。
何がフィアンセだ。あなたと接点を持った覚えすらないのに、何がどうなったらそうなる。
ていうか先ほど降車していったおじさんといい、どうしてこうも恋人同士に見られてしまうのかも疑問で。
「あ……、ああ、そうだべ。まるでおしどり夫婦みてぇだったっぺ」
「そんな馬鹿な!」
老婦人は何やら少しだけまごついてから、賛同してくる。
ハルナさんは、また窓の外を眺めながら満足げに笑っていた。