ナミダ列車
ヌッと伸びてきた指はチョコがたくさん入った袋の中に。
ミステリアスな丸眼鏡をクイッと上げたハルナさんは、こちらに身を乗り出して一粒掻っ攫ってゆく。
仄かに柔軟剤の香りがした。もっさりした黒髪が私の前髪に触れる。
「…どう?分かりそ?」
──クスリと口角を上げたハルナさんは、見せつけるようにしてチョコを口の中に放り込んだ。
ああ、なんだこの人…。
一つ一つの振る舞いが意味深なんだよ。
大人の色気がプラスされてしまったら、たかだか18年しか生きていないジョシコーセーの私は、悔しいけれどキャパオーバーだ。
「この人、オネーチャンのカレシィ〜?」
その時だった。
私の隣には、やたらキラキラした目を向けてくる純情乙女が座っていたのだ。