ナミダ列車







東武金崎駅を出発してまもなく、ハルナさんが私に言ってきたことと同じような内容だと思った。

辛く苦しいことを乗り越えてこそ大人になる。

つまり、成長するってことは、彼の話の中に出てきた目的地が不明確な電車に乗ることと同じなのだと。

この場合の例えでは、目的地のある電車に乗ってしまうのは、何の苦労もしない、それこそ何の中身もない日常の繰り返しをすることを意味している。

不変の世界では人間は成長しない。だから現代では、ちょっとした非日常がより必要になってくるのだと、アルビン・トフラーは言っていた。





それは私にも響くことだった。

具体的に何が日常化しているのかも思えば定かではない。

ただぼんやりとしていた。
ただ息をしているだけ。

そのように感じはじめたのは、いつからだったか。



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