ナミダ列車
────大人になる、か。
私はやっぱりまだ子どもだと思った。
高校生という年代は大人か子どもか、中途半端な時期だというが、大人の定義をそうやって定めてしまうのなら、私はきっとまだまだ子ども。
それほど目の前のことに向き合えていない気がする。何に?
………何に、なんだろうね。
「なんだか私も考えさせられちゃいました…」
今日はやっぱり不思議な日だ。
胸の中に詰まっていたモヤモヤが少しずつ溶けてゆくような気がする。線路の上を駆ける電車の勢いに、その塊が次々と引き剥がされていくようで。
────穏やかで優しげな印象を受ける老婦人は、しばらく私のことをジッと見つめていた。