ナミダ列車
「そのせいでお友達には下手っぴだって馬鹿にされるし」
「…そっか」
「少しの時間でもいいから描いていたいんだ。今はまだ下手だけど、それなのになんでだか楽しい。もっと上手になりたい」
「うん」
「だから、学校行く時間はいらないって思っちゃいけないの…?私を笑ってくる子たちがいるところにいる必要ないじゃん」
眉を下げているミユちゃんは、小さな声でポツリポツリと本音を零す。
────もっともっと上手くなりたいから。
よく考えると、それは単なる逃避行動なのかもしれないのに、いかにも効率的な方法だとこじつけて自分を騙すことは…、誰だってしたことがあると思う。
なんだか変な感じ。私ってこんなことを考える人間だったかな。
「やりたいことをただやっていればいい。確かにそうだとは思う」