ナミダ列車
これはハルナさんがポロッと口にしていたことの続きだった。
正面から無言の視線を感じたけれど、何をしてくるわけでもない。
ハルナさんは、弱い…のか。
言い終わってから、少しだけ考えた。
私だって人のことを言えないかもしれない。無気力な日々に鬱々としている私が、本当はこんなことを言えた義理じゃないのだ。
マンネリ化した日々。
ポッカリ空いた穴。
けれどこのボックス席に座ることで、少しずつ色を取り戻してきた。
絵を教えてくれた先生が、幼い私に何度も何度も口を酸っぱくして言い続けてきたことが、今になってこんなにも胸に響く。
……本当に不思議。
これほどまでに過去を振り返る機会はそうそう無いから。
「あと、友達が馬鹿にしてきたらさ、逆に胸を張るべきだと思うよ」
「え?何で?」
「だってさ、やりたいことがあるって素敵なことじゃん。夢があるって最高じゃん。一心不乱に頑張ってるミユちゃんを見て、きっとみんな感化されるよ。ミユちゃんってなんだかカッコイイって」
フフ、と口角を上げると彼女はキラキラした眼差しを私に向けてきた。
「ほんと?!」
……良かった。どうやら胸のうちにあったモヤモヤは晴れたみたい。
「うん。だから、学校も行って、絵も頑張ること!ミユちゃんならできるよ」
「……うわあああ」
「……って、なんだか私もいろいろ思い出したよ。ありがとうミユちゃん」
「ううん!こちらこそありがとうっ!オネーチャン!」