ナミダ列車





両親の笑顔が見たくて絵を描きたいと思ったけれど、それはあまりに漠然とした思いに過ぎなかった。

それに気づいたのは、ちょうど私がミユちゃんくらいの歳の頃。


具体的にどんなことをすれば素敵な絵を描ける人間になれるのか、なんてことも考えていなかった私は、ずっと煮え切らなかった。



だから、それこそクラスの友達には馬鹿にされた。


たいして上手じゃないのに、こんなことをし続けている私が不思議でならなかったんだ。面白くない子。付き合いの悪い子。なにを考えているのか分からない子。



ミユちゃんのように休み時間もずっとお絵かきをしていた私はクラスの女の子たちからちょっと浮いていたかもしれない。

キャッキャと頬を綻ばせて外遊びしに教室を出ていく輪の中に私はいなかったし、もちろん誘われもしなかった。



ポツン、と教室で独りぼっちになることもあったけど、私は少しでも早く絵がうまくなりたくて。必死に働いてくれている両親のために。

ああ、そうだ。その頃は母親が過労で倒れた時だったからなおさらだった。



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