ナミダ列車
「感動したよ。勇気を貰った」
「……大げさな」
「盛ってない。事実だし」
「……そう、ですか。それなら、良かったです」
しかも、たかだか似顔絵を描いたくらいだというのに、ハルナさんは勇気を貰ったと言ってくる。
────なんの勇気?
お世辞とも取れるような感想の数々であったけれど、それでも彼はデタラメを言っているような目をしていなかった。
ミステリアスな雰囲気を保ったままで掴みどころがないものの、彼は確かに喜びをあらわにしていた。
「……って、いうか…これ、いつまで」
「ん?」
……だけど、それとこれとは別問題。
私の頬に添えられている手に指をさして訴える。
ケロッとした顔でしらばっくれようったって、バレバレだっての。ていうか、私もなに意識しているんだ。
ありえないよ。よく知らない人に胸躍らせるだなんて不埒にもほどがある。