桜色の涙
残り20秒、22-22。どちらも譲れない点数の中、ボールを持ったのは俺達1組。
バスケ部の男子がパスをしながら順調にゴールへと向かっていく。
いける……!その場にいる全員がそう思っただろう。
しかし、そのボールが放たれることはなかった。残り10秒にして江崎くんの手にボールが渡る。
ボールは操られているかのように俺の方へ向かってくる。後ろに人はいない。つまり止められるのは俺しかいない。
ディフェンスはマークしてゴールに近寄らせないようにする。でも、どんどん近づいてくる彼は止められない。
そして俺の前に立ちはだかる。
こっちにくる。そう思った予想は外れて、彼はスリーポイントラインからシュートを放った。