桜色の涙

────ピピーッ!



試合終了のホイッスルが鳴り響く。得点板は、22-25になっていた。


終わった。俺はまた江崎くんに負けたんだ。


いや、違う。俺がさっき止められていればチームだって負けなかったのに。俺のせいだ……。


落胆する俺とは逆に、チラッと見えた彼は勝ち誇ったような顔をしていた。



◇◆◇




「お疲れー」


「江崎、良かったじゃん!」


そんな声が飛び交う5組の前に俺はいる。俺はこれから審判をしなければならない。しかも5組の試合を。



さっきの試合を思い出してボーッとしていると。


「迅くん」


落ち着く透き通った声。星那ちゃんが隣にやってきて何か言いたげな顔で俺を見る。
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