桜色の涙

一気に暗闇へ突き落とされた気分。


1番言われたくない言葉だった。どんなに好かれていなくてもその言葉だけは聞きたくなかった。


だって星那のことを好きでいるのは自由でしょ?


こんなにも星那のことが好きで忘れられないから辛いのに、そんなこと言わないでよ……。



「小谷さんと付き合った方が、迅は幸せになれるよ」


久しぶりに呼ばれた俺の名前。ドクリと胸が高鳴るけどそれと同時に冷や汗も出てきた。


勝手に俺の幸せを決めないでよ。星那は違うかもしれないけど、俺にとっての幸せは……。



「俺は星那といられるだけで幸せだよ」


夏祭りの夜、もうこの気持ちは捨てると決めた。絶対に好きだと伝えないと誓った。


それなのに星那を前にするとこんなにも胸が痛むよ。
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