桜色の涙
「でも、絶対に自分で幸せをつくってみせる」
夢みたいな幸せはもう叶わない。
俺には小谷さん、星那には江崎くんがいるんだ。俺と星那が関わることはきっともうないだろう。
この気持ちは消すと決めた。その決断に後悔するつもりはない。
「迅がいいならそれでいいけど」
何が言いたげな顔をしていたけど、俺の表情を見て言うのをやめたらしい。
きっとこの気持ちが中途半端ではないことに気づいたからだろう。
「素直でいろよ。自分に嘘はつくんじゃねーぞ」
……そんなこと言われなくてもわかっている。今だって自分に素直でいるし、昔からそれは変わらない。
俺はそう思っていたから、間違いに気づくことかできなかったのかな。
渚の言葉を受け止めていれば、これ以上苦しむことはなかったかもしれないのに─────。