桜色の涙


◇◆◇



宿泊学習から数週間が経ち、今は夏休みの真っ最中。


でも、矢代さんはなんとか免れたものの補修の手前だったらしく、今は矢代さんの家で4人で勉強会をしている。



「それでね!悠大くんが……」


そう、矢代さんのための勉強会……のはずだったのに。


いつの間にか勉強しているのは俺と渚と小谷さんだけで、彼女はひとりで口を動かしていた。



「理々愛。手が止まっているけど勉強は?」


その様子を見かねて口を挟んだ小谷さん。うん、それは俺も言おうと思っていたよ。


「だって飽きたんだもん」


面白くなさそうな顔で彼女は答える。その顔が幼い子供みたいでクスッと笑ってしまった。



「ちょっと、広瀬くん?笑わないでよね!」


「ご、ごめん。面白くて」


うっすらと笑みを浮かべながら謝ると、また彼女はムスッとした顔をする。
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