桜色の涙

『……星那、大丈夫か?』


『うん、巻き込んでごめんね』


少し離れたところまで来てホッと息をつく。


俺はこんなにも星那のことが好きだ。それでも伝えないのは、この距離にどこか安心しているから。


友達でも恋人でもない。そんな曖昧な関係に。




そして宿泊学習の2日目の夜、俺は星那に呼び出された。


ロビーに来て、とメールが入り、久しぶりのことに胸を踊らせた。


初めて星那と付き合ったときのことを思い出しながら向かった。



『俺、星那といるときが1番楽しい』


幼馴染みだった俺達の距離は当たり前のように昔から近くて、付き合う前から友達に冷やかされることも多かった。


その度に俺達は照れながらも否定していたけど、可愛くて優しくて明るい星那が俺は大好きだった。


物心ついたときには好きで、他の人に告白されたって星那以外を見る気にはなれなかった。
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