桜色の涙

でもね、それでも俺達は。


『……そっか。あたしも言いすぎた、ごめんね』


それを受け入れて前に進もうとする。


ひとりじゃ支えられないから全員でその苦しみを抱えようとする。


まだ無力な俺達はそうしないと生きられないから。




「……広瀬くん?」


ふいに顔を覗き込まれて、また俺が自分だけの世界に入り浸っていたことに気づく。


この癖だけはいつまで経っても直らない。



「ちょっと、広瀬くんのための作戦会議中なんだけどー。聞いてる?」


少し怒ったように俺の方を見る矢代さんに曖昧に笑って返す。
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