桜色の涙

今の俺達はすっかり元に戻って前と変わらず話している。


小谷さんとは最初は気まずかったもののだんだんと心地良さを感じて、やっぱり4人でいるのが1番だと思えるようになった。



「緊張すると思うけど、負けないでよ!」


矢代さんはいつだって素直に自分の気持ちを伝えている。


江崎くんには相変わらず告白を続けて、振られても毎日めげずに挑んでいる。


出会いは俺達が告白を盗み聞きしてしまったことだったけど、今ではそれも笑い合えるいい思い出になっている。



「広瀬くんならきっと大丈夫だよ」


小谷さんは満面の笑みでそう言ってくれた。


俺が1番迷惑をかけて苦しませてしまったのは彼女だと思う。


こんな俺を好きになってくれたのに、幸せにしてあげられなかった。


どんなに悔やんでも悔やみきれないけど、こうして何もなかったかのように接してくれて本当に救われている。



今この瞬間だって、きっと彼女は苦しんでいるはず。


それでも俺の背中を押すために笑ってくれるなんて、本当に優しすぎるよ。
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