桜色の涙



ついにやってきた放課後。みんなは明日からの冬休みで胸がいっぱいで浮かれている。


そんな中、俺は心を落ち着けるように深呼吸を繰り返す。



これから星那に気持ちを伝えに行くんだ。


もう失敗は許されない。これが最後のチャンスなんだから。


2回目のクリスマスデート。俺は幸せな気持ちで明日を迎えることができるんだろうか。



帰り道は珍しくひとりで歩く。渚はまた気をつかってくれたのか、今日は橋本さんと一緒に帰るらしい。


家へ帰ったらすぐに連絡して家まで迎えに行こう。そこから俺の戦いが始まる。




「広瀬、緊張してんの?」


「え?」


ふいにどこからか声が聞こえて顔を上げる。


声は聞こえるけど姿は見えない。こんなシチュエーションは前にもあったな、なんて。
< 347 / 374 >

この作品をシェア

pagetop