桜色の涙
ついにやってきた放課後。みんなは明日からの冬休みで胸がいっぱいで浮かれている。
そんな中、俺は心を落ち着けるように深呼吸を繰り返す。
これから星那に気持ちを伝えに行くんだ。
もう失敗は許されない。これが最後のチャンスなんだから。
2回目のクリスマスデート。俺は幸せな気持ちで明日を迎えることができるんだろうか。
帰り道は珍しくひとりで歩く。渚はまた気をつかってくれたのか、今日は橋本さんと一緒に帰るらしい。
家へ帰ったらすぐに連絡して家まで迎えに行こう。そこから俺の戦いが始まる。
「広瀬、緊張してんの?」
「え?」
ふいにどこからか声が聞こえて顔を上げる。
声は聞こえるけど姿は見えない。こんなシチュエーションは前にもあったな、なんて。